昨夜は早くから寝てしまったので、目覚めはさわやか。時計を見るとまだ6時半。日本でもこんなに早くは起きないのに、旅に出ると時間がもったいなく感じて早起きになる。「東南アジアの都市ならきっとどこかで朝市をやっているだろう。地元の人々の素顔の生活も見てみたい」と顔を洗って早朝の町へ出ることにした。ホテルの玄関前の大通りをパッポンとは反対側へと歩く。パッポンまでの通りは昨日歩いて確認しているので、まだ歩いていない方角のほうが朝市の確率は高いと睨んだ。200メートルほど歩いて行くと、惣菜が入ったビニール袋をぶら下げたおばさんが歩いて来るのに出会った。「あの本で読んだ通りだ。タイの人はあまり家で食事を作らない。屋台で好みの惣菜をビニール袋に入れてもらい、家で食器に盛りつけなおして食べる」と書いてあった。「あのおばさんが今出てきた路地に朝市が開いているはずだ」と狙いをつけて道を急ぐ。ピーンポーン!大的中。こちらの大通りから次の大通りまでの間に、朝市の屋台がズラーと並んでいる。その上、通りに面した小さな商店や市場も全部が店を開けている。まさしくこの近隣の人々の台所だ。屋台大好き人間の私はたちまち「朝飯はここにしよう」と決めて、朝市の通りを歩き出した。香港なら「おかゆ屋」さん、台北なら「破れトタン屋根の揚げパン屋」さんが私の朝食の御用達、ここバンコクではいったい何が私の朝飯になってくれるだろうかと心は弾む。大通りを左に折れたその通りの手前50メートルほどは道幅が狭い。自転車を止めて、荷台の上にイミテーションのアクセサリーをイッパイぶら下げて売っているおばさん、店の商品を歩道にまでせり出し、「ここはうちの売り場だよ」と当然のごとく権利を主張して子供の服を並べている商店、自転車に箱を乗せ、見たことも無いフルーツをこぼれんばかりに詰め込んで量り売りをしているおじいさんなど、アジアの朝市らしい風景が通り一面に展開されている。何時かなと時計を見ると3時になっていて、秒針が止まっている。ありゃ、電池切れだ。ちょうど目の前におじいさんが目覚まし時計や腕時計の屋台を出していたので、身振り手振りで電池を交換してくれるようにお願いしたが、首を振って「出来ない」と言う。ところが、そのチョットの間に、若いOLとおぼしき娘さんが二人も目覚まし時計を買っていった。なんで目覚まし時計なんかが売れるんだろう?。一つでは足りなくて、二つも三つも枕元に置いておくのだろうか?。聞いてみたかったが、私の語学力ではとても無理と諦めた。しばらく行くと、おじいさんよりもう少し若いおじさんの時計屋さんがあった。止まった時計を差し出して「アイウッドライクトゥチェンジザバッテリーオブマイウオッチ?」と怪しい英語でお願いすると、英語を理解はしていそうも無いのに「OK」と快い返事ですぐに取り替えてくれた。料金は80バーツで約240円。やはり安い。これを書いている今も私の時計は正確に時間を刻んでいるのでインチキでは無い。おじさん、ありがとう。
|
【 目 次 】
□TOPページへ
1.初めてのバンコク
2.シーフードレストラン
3.ナナ駅界隈
4.大都会バンコクの怖〜いお話
5.チャオプラヤ川とお寺
6.日本人居住区
7.パッポン・タニヤ
8.朝市
9.ホテルの朝食
10.メランコリック・パタヤ
11.別荘キット
12.空港とタバコ
13.暗くなって到着プーケット空港
14.カタビーチのホテル
15.パトンの夜はやっぱり怪しい
16.コンシェルジュ
17.ビーチ
18.真昼のプーケット
19.カタビーチ商店街
20.プーケットファンタシー
21.プーケット最後の一日
|