団塊世代必読「不良中年二人連れタイ旅行記」 タイでロングステイはいかが?    《信州ネット.Com》

7.バッポン・タニヤ

 東洋一の歓楽街「パッポン」。その名は世界中に轟く。我が日本の新宿歌舞伎町も最近では負けてはいないらしいけど、でも、やっぱり「パッポン」の響は我々旅行者を、怪しい期待と、暗黒への不安とで、ある種の興奮状態にさせる。そのパッポンはホテルから歩いて行ける距離。快晴とは言えないが、雨が降る様子も無い、だら〜とした夕方の始まりの時間。そろそろラッシュが始まろうとしている大通りを例の「大通り渡りの術」で横断し、歩いてパッポンへ向う。5分ほどでパッポンに着いた。「ここがパッポン」であろうことは始めての我々でもすぐにわかる。パッポンはタノンだが、今歩いて来た大通りの出口まで、すでに屋台・やたい・ヤタイ・・。人と屋台とがあふれかえっている。大通りを右に入って、まっすぐ進み(実際にはとてもまっすぐに進むことが出来ない喧騒と混沌の通りだが)次の大通りへの出口までがパッポン通り。そして、パッポンの北側にパッポンと並行して走っているのがタニヤ通りだ。東南アジアの大都市にはチャイナタウンがあって、そのほとんどに屋台街があるが、それらの屋台街とパッポンの屋台とは大きな違いは無い。何がこんなにパッポンを有名にしているのかと言うと、それは道路の両側にずらりと並んでいる「ゴーゴーバー」や例のその筋のお店。歩行者専用道路となっている車道の中央に、2列にビッシリと屋台が向かい合って並んでいる。ほとんどが物品販売で、飲食店はまず無い。畳一畳よりも少し大きめの板を台の上に載せ、両側に竹などで柱を立て、その柱の上にテントをかぶせたどこにでもあるおなじみのスタイル。板の上と、板からテントまでの間を陳列場所にして、山ほど色々な商品がならべてある。板の下と後ろの歩道側には並び切れない在庫商品と、それらを運搬するダンボール箱が置いてある。車道の中央に1メートルほどの通路が開いていて、そこを観光客が屋台を冷やかしながら歩く。両側は通りの入り口から出口までビッシリと屋台が並ぶ。所々で売り手のおばさんと値段交渉をしているグループがいる。すると、そこで中央の人の流れが停滞する。反対側から歩いて来る人もいる。人・人・人でごった返し、その上、売り手のおばさん達の大声と、歩道に並んでいるゴーゴーバーのスピーカーから流れてくるロックのビートが入り混じって、すざましいエネルギーが充満している。 

       【 目 次 】
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  1.初めてのバンコク
  2.シーフードレストラン
  3.ナナ駅界隈
  4.大都会バンコクの怖〜いお話
  5.チャオプラヤ川とお寺
  6.日本人居住区
  7.パッポン・タニヤ
  8.朝市
  9.ホテルの朝食
 10.メランコリック・パタヤ
 11.別荘キット
 12.空港とタバコ
 13.暗くなって到着プーケット空港
 14.カタビーチのホテル
 15.パトンの夜はやっぱり怪しい
 16.コンシェルジュ
 17.ビーチ
 18.真昼のプーケット
 19.カタビーチ商店街
 20.プーケットファンタシー
 21.プーケット最後の一日

 Tシャツ・ネクタイ・セーター・スカート・ズボン等のあらゆる衣料品、安物の時計・アクセサリー、民芸品、コピーのCDやDVDソフト、ブランドのコピーのカバン・ハンドバッグなど、何軒もの屋台があるが、みんな同じ物を並べている。だから、総アイテム数はあまり多くない。このタノンパッポンからも当然小さなソイが枝分かれしていて、行き止まりになっている。一番奥には、ガラス扉に鍵が掛かっている本物らしき物を売る高級店があり、その両側には、固定の店舗だが売っている物は屋台と同じと言う小さな店がビッシリと並んでいて、こんなソイが無数にある。ブラブラ歩いて見てみると、どこもオリジナリティが無い。同じ問屋から仕入れている同じ商品ばかりだ。

 大通りからパッポンに一歩足を踏み入れてコピーの時計屋の屋台を覗いたとたん、いきなり筋肉ムキムキの怖そうなおにいちゃんから怪しげな日本語でお声が掛かった。「ロレックスコピー。ミルダケ、ミルダケOK」。安っぽさ丸出しのブリキ細工に毛が生えたような、香港でも台北でも2〜3000円で売られているオイスターパーペチュアルがジャラジャラと出てきた。少しは後ろめたいのか、一応は皮のケースにくるんで隠してあった。エキスプローラーもあって、「ヤスイヨ・ヤスイヨ」と目の前にぶら下げる。K氏が、いかついおにいちゃんに「これある?」と本物のエキスプローラーを腕にはめたまま見せた。すると、子分のようなチョット細手の若いにいちゃんが現れて、「Aクラス・Aクラス」とにこにこしながらわめいている。「XXXXXXX」とこわいおにいちゃんが子分に何か言った。多分「バーカ、だからおめえはバカだって言われるんだよ〜。こいつはおめえ、本物だーな。よ〜くみておけよ。めったにゃーお目にかかれねー本物よー」とでも言ったんだろう。子分はK氏の腕からロレックスを外すと、裏をひっくり返したりして、一生懸命勉強しだした。「チョットマテ・チョットマテ、Aクラス・Aクラス」と今度はヒモでぐるぐる巻きにした別のケースから、本物?のエキスプローラーを取り出した。「ヤヤッ、こりゃまた、たまげたね〜」きらきらと光輝くつややかなボディに、鎖の部分もずっしりと重量感があり、デイト表示部分のガラスの盛り上がりも本物ソックリ。怖いほうのにいちゃんはやにわにドライバーを取り出すと、そのコピーのエキスプローラーのガラスの表面をごしごしとこすり出した。「ダイジョブ・ダイジョブ」、確かに傷ひとつついていない。サファイヤガラスが使ってある。安物のコピーではこいつ等には通用しないと見てか、今回の「Aクラス」にはやけに力が入っている。「12500バー」「ナニッ、イ・イ・イ・イチマンニセンゴヒャク?タタタッケー」。日本円で約4万円と言いやがった。はったりにもほどがあるぜにいちゃんよ。「ワッホー、トゥーイクスペンシヴよ」。「OKOK」と電卓を取り出して「イクラ・イクラ?」とにいちゃんは叫ぶ。K氏はようやく自分のロレックスを取り戻し、ニヤニヤしながら事の成り行きを見守っている。私も少々乗ってきてからかい半分に「いらないいらない」と手を横に振りながらもAクラスのロレックスをながめて「グッドグッド」等と半分気のあるような素振り。「イクラ?イクラ?」と電卓を差し出すにいちゃん。実は、ここで指値をしたら、こちらの負け。こちらはこのAクラスの相場を知らない。日本流に半額の6000バーとでも言おう物なら、そこからの価格交渉となり、おおむね相手の言い値とこちらの言い値の真中あたりの価格ラインでの攻防となってしまう。あくまでも「ノーサンキュー・アイムオンリールッキング」で押しとおすのだ。でも、どこまで下がるか試したかったので、そう言いながらも物ほしそうな素振りを見せてやった。先に根負けしたのはにいちゃんだ。「6000バー」といきなり半額以下。「ノー」「4000バー」「ノーサンキュー」「3000バー」「ノーサンキュー」「2000バー」おいおい、いったいいくらまで下げるつもりだい?「ノーサンキュー」「1500バー」、下げ幅が500ピッチになってきた。「ノー・トゥーイクスペンシヴ」と言うと、怖いにいちゃんが真剣な顔をして、その丸太ん棒のような腕で私の手をグイとつかみ「1500バー・1500バー・Aクラス・ヤスイヨ」と「絶対に買うまで離してやらないぞー」と顔を近づけて大声で叫ぶ。「てめえ、昼飯何食った?臭うぞ!」と思いながら、度が過ぎたからかいに少し怖さを覚える「1500バーツ、4500円か、買ってもいいかな〜」と心はぐらつくが、イヤイヤまだ下がるかもと「アト、アト、また来るまた来る」と言って歩こうとしても、手を離してくれない。K氏は大笑い。「この根性には見習うべきものがある」とは思うけど、なんとか腕を緩めて欲しい。腕の太さ通りのバカ力だ。「後で来るよ、後で必ず来るよ」と何度も叫んでようやく力を緩めてもらった。

 ああ、チョット怖かった。それにしても、最初の言い値の約十分の一とは少々びっくり。これを機会に、タイでの買い物は肝に銘じて「半額なら安い」等とは絶対に思わないことだ。くどいようだが、交渉は十分の一からスタートしよう。帰りにはもう一度ここを通るのだし、値段を覚えておいて、買うのなら帰りにしようと、パッポンの喧騒の中へと一歩を踏み入れた。あまりの人の多さに中央の通路は歩けない。そこで、ちょうど屋台の裏側となる歩道を歩いて見ると、どこまで言ってもゴーゴーバー。そして、客引きのおにいさんやおねえさん、それに、見分けはつかないが、その両方とも言えるしどちらでもないとも言える中間の方々が、薄気味悪くウロウロしている。開けっぱなしの扉からは、強烈なビートがガンガンとあふれてくる。店の中には、見るからに怪しげな色の照明をあびて、テーブルをステージ替わりに、何人かのその手のお嬢さん方が、音楽に合わせて腰をくねらせて踊っている。目があうと、にっこりと微笑むが、踊りは止めない。赤や青の照明を意識してか、白いビキニを着ている娘が多い。が、本に書いてあるようなトップレスはいなかった。残念!。かかとが高くて細いピンヒールのサンダルを履いているので、みんなプロポーションが良く見える。が、顔は、暗くて良く見えないが、期待するほどではなさそう。当然「アノ子が欲しい」と「はないちもんめ」ごっこで、ホテルまでついて来るシステムだ。どうせ、田舎から買われてきたのか自分で出てきたのかわからないが、悲しい物語を背負っているのだろう。それでもけなげに明るく笑顔を振りまいている姿は、かえって痛々しい。ちょっとセンチメンタルな気分にさせる。

 気分を変えて、今度は中央の通路を歩いて見る。デブデブの白人のおばさんが通り過ぎると、普通でも狭い道がより狭くなる。Tシャツ屋の前でやはり白人の家族が汗をふきふき価格交渉の真っ最中。そこが障害となって、なかなか前に進めない。もみくちゃになり、ようやくのことでパッポン通りを抜けて、反対側の大通りへ出た。そこは、コピーソフト屋さんの花盛り。マージャン台ほどの大きさのテーブルの上に、CDのジャケットを2〜3枚並べているだけ。そしてたぶん「コピーのCDやDVDがお値打ちだよ。欲しい人は僕に言ってね。すぐに持って来るからね。」と叫んでいるのだろう。さすがにおばさんではこういったハイテク物は扱い切れないと見えて、学生風の若いおにいちゃんの独壇場。中には、ぐるりとカーテンを張って外からは見えなくしてある店もある。当然、店の中にはジャケットまでも本物ソックリのコピー商品がビッシリと並んでいる筈だ。香港ではゲームソフトやパソコンソフトもたくさんあったが、タイでは音楽物のソフトがほとんど。そう言えば、マレイシアで買ってきたプレステU用の「ジュラシックパーク」はどんなことをしても動かなかった。「本体を特別に改造してコピーガードを外さないと動かないよ」と何かの本で読んだけど、どこで改造してくれるのかまでは書いてなかった。ここのCDやDVDもちょっぴり不安?。

 パッポンを出て、大通りを左に折れ、次の通りが別名「日本人通り」のタニヤだ。この通りは歩行者専用にはなっていないので、あちらこちらにクルマが駐車してあるし、タクシーも乗り入れてくる。パッポン通りよりも少し広く感じるが、この通りには屋台が出ていないので、それで広く感じるのかも知れない。両側はほとんどが飲食店。そして、その名の通り、日本語の看板が目につく。日本料理店・寿し屋・居酒屋・ラーメン屋をはじめ、クラブ・カラオケバーがひしめき合っている。「ゆみ」とか「みさき」とか、日本の夜の繁華街と変わらない。おまけに、客引きのおにいちゃんたちの姿も同様だ。ここにいると、まるで異国にいると言う気がしない。日本の田舎町の駅裏の飲み屋街にいる気分。でも、やっぱりここはバンコク、ビルの2階へ上がる階段の入り口には、目イッパイ濃い目のメイクを施した現地系のおねえさん方が、一段辺り5人ほど、ずらりと階段の数だけ並んで、ショーウインドーを形作っている。そうかと思えば、思わず振り向いて目で追ってしまいそうな、スラリとした長身の、プロポーション抜群のおねえさん方も歩いて来る。「ウオッフォー、タイのモデルさんかな?」。「オカマですよ、オカマ」。なるほど、これがあの噂に名高きオカマチャン。「はじめっからオカマとわかっていたら気持ち悪いけど、女だとだまされていたら、その気になりますよね。話の種に一度くらいオカマに引っかかっても悪くないかもね」、などと真剣に思わせるほどのいい女?。胸のふくらみも悩ましげだ。

 いやいや、本来の目的はちがうぞ!。バンコクの日本食の勉強だ。タニヤ通りの日本食系の店には、入り口に代表的なメニューが出してある。ぶらぶら歩きながらメニューとその値段を調べて見ると、ほとんど日本と同じくらい。と言うことは、所得・物価が日本の約三分の一のタイの人々にとっては日本料理はかなりの高級品と言うことになる。日本の企業で働いていて、日本と同じ給料をもらっている人達にとっては普通の価格ということになるが、店の側から見ると、家賃は安いし、人件費は安いし、日本人の客がそこそこ入ってくれればかなりの収益が期待できそうだ。日本独特の食材を入手出きるかどうかが問題にはなるけれど。それでも、クラブやカラオケバー等、俗に「飲み屋」と言われている業態は、売り物は女の子だけなので、相当の利益は確保できるのだろう。ただ、当然のごとく裏の世界も存在し、公的・私的な「みかじめ料」という費用もかかってくる。日本と同様「ヤ」のつく世界は当然あるし、こちらでは、警察もその手の人達と同様に何がしかの金銭を要求すると言う話を聞いた。この通りでは商売はしたくないな〜。

 そろそろ腹が減ってきた。「何か食べましょう」。再び大通りへ出ると、アルバイト風のおにいちゃんがきれいなチラシをくれた。チラシは目の前の店の販促チラシだった。その店は、ベージュと赤を基調にした総ガラス張りの明るい雰囲気で、外からおしゃれな店内が全て見えて、安心感がある。チラシにはメニューが写真入で載っていて、ラーメンと串焼きという変わった取り合わせ。でも、あまりお客は入っていない。現地の人は皆無だ。壁にはどういうわけか日本語で「古池や、かわず飛び込む、水の音」などとふざけた文句がディスプレイになっている。なんじゃこりゃ?。取りあえず腹ごしらえをしようと入っては見たが、ラーメンのまずいこと、串焼きのタレの甘いこと、こりゃひどい。客が入っていない事に納得。それでも一応腹はいっぱいになった。「これからどうしましょう、ちょっと疲れましたね」。「きのうの夜は遅かったしね」。強行軍の昨日の疲れが出たのか、それとも一日では十分になにがたまらなかったのか?二人ともそちらの元気は無い。「今夜は明日への英気を養うこととしましょうか」。「そうしましょうか」。と、今宵は健全な夜を過ごすことになりました。

 ところで、例のコピーの時計屋ですが、帰りにもう一度寄って見たら、くだんのにいちゃんに再び腕をつかまれて、それはもう大騒ぎ。結局エキスプローラーは買わなかったけれど、今にして思えばちょっぴり心残りです。

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タイ・チェンライでロングステイ!年金でだけで暮らせる夫婦で一ヶ月10万円楽園生活「シヴィエンリゾート&スパ」

 海外でロングステイ(長期滞在)と言うと、何か特別なことのような感じを受けられる方が少なくありません。「ビザはどうする?」・「病気になったら?」「言葉が通じないのでは?」など、不安要素が少なくないからです。しかし、もっと気楽に考えられないものでしょうか?。「一週間の海外旅行を一ヶ月に延ばしてみる」程度の感覚でも良いのです。
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ページ作者のタイ3都市巡り「タイでロングステイも悪くない」

 2006年5月9日から16日まで、8日間の予定でタイへ行ってきました。タイでは多くの方々がロングステイを楽しんでいらっしゃるらしいのですが、今回の旅は、そんな方々に直接お会いして、「本当に幸せな生活をされているのかどうか」の生のお声をお聞きするのが目的でした。コラート→バンコク→チェンマイと3都市を回りましたが、日本人のロングステイのメッカはやはりチェンマイ、特にチェンマイで暮らしておられる方のお話しを聞きたかったのです。画像で綴るタイ旅行記、是非お楽しみ下さい。
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