コテッジでもなく、ビル形でもなく、その折衷と言うようなポップコテージ。荷物を持って、ポーター係りのにいちゃんはフロント脇の階段を上がる。階段の上り口を右に折れたすぐの所にレストランがあり、「朝食はここですよ」と教えてくれた。階段を最上段まで上りきると、右へ直角に折れて今度は下がる。そこに、アパートのような2階建ての建物があり、海に面したテラスの側から部屋に入る。もう、辺りは真っ暗なので、海は見えないが、うっすらと明るい空に椰子の木の黒いシルエットだけがゆれている。波が荒いのか、ここまで潮騒が聞こえてくる。部屋には大きなテレビもあり、ベッドもキングサイズでかなり広い。K氏の部屋とコネクティングになっていて、中のドアから出入りができる。K氏の部屋はツインのベッドだそうだ。トイレも清潔で、まだ出来たばかりのような新しさを感じさせる。バスタブは無く、シャワーだけ。アジアの安いホテルでは温水が出ないケースもあると聞いていたが、ここは大丈夫だった。値段の割には清潔できわめて快適。おまけに、プライバシーは万全だし、いちいちフロントの目の前を通らなくても出入りができる。朝食付きの込み込みで一泊3000円なら安いと思うのだが、空港の観光案内所ではもっと安いはずだと言っていた。家族で長期滞在をするなら、ここらのホテルが手ごろで良さそうだ。
シャワーをすませて晩飯を食いに行こうと道沿いのレストランを探す。大きなレストランは照明も消え、テーブルの上にイスが全て片付けてあり、営業を休んでいる。もう少し先まで行って見ると、客はいないがまだ開いているレストランがあったので入ってみた。ピザを焼く専用の釜みたいなものが表から見えたので、ピザを注文すると「もう出来ません」と言う。仕方が無いので、スパゲティを食べた。うまくもまずくもない平均的な味で、値段もそれなりに平均的。取りあえずは腹ごしらえが出来た。「10時ですね。パトンへ行きましょう」とK氏。「まだ大丈夫なんですか?」。「パトンは今ごろの時間からが込み合うんですよ。どこも明け方まで営業していますよ」。「遠いんでしょう?」。「トゥクトゥクで15分くらいでしょうかね、ここがどの辺りか良くわからないけれど」。「じゃあ、さっそく行きましょうか?」。「でも、トゥクトゥクいるかな〜」。なにせ人が少ないのでクルマもめったに通らない。歩いている人もまばらで、お土産屋の店員も下を向いて雑誌を読んでいる。すると、向こうの方から真っ赤な、日本の消防車のような軽四輪のトラックがやって来た。
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【 目 次 】
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1.初めてのバンコク
2.シーフードレストラン
3.ナナ駅界隈
4.大都会バンコクの怖〜いお話
5.チャオプラヤ川とお寺
6.日本人居住区
7.パッポン・タニヤ
8.朝市
9.ホテルの朝食
10.メランコリック・パタヤ
11.別荘キット
12.空港とタバコ
13.暗くなって到着プーケット空港
14.カタビーチのホテル
15.パトンの夜はやっぱり怪しい
16.コンシェルジュ
17.ビーチ
18.真昼のプーケット
19.カタビーチ商店街
20.プーケットファンタシー
21.プーケット最後の一日
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